実施報告

2022.01.11
アートラボぎふ

洋画実技講座 自画像-魂の深淵を描く- 実施報告

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「第3回ぎふ美術展」洋画部門で審査員を務めていただいた遠藤彰子先生を講師にお迎えし、自画像の制作を通じて、自分の内面に潜むアイデンティティに目を向け、「自分らしい表現とは何か」を共に考えるワークショップを開催しました!


【開催概要】

◆日時  令和3年12月18日(土) 10:30~15:30

◆会場  せきがはら人間村生活美術館(関ケ原町)

◆講師  遠藤彰子氏(洋画家・武蔵野美術大学名誉教授・二紀会理事)

◆参加者数  15名


◆内容  「自画像-魂の深淵を描く-」というタイトルにあるように、作品を制作する上で「自分は何者であるか」を知ることはとても重要なことであり、生涯をかけて考えていかなければならない重要なテーマだと考える講師のワークショップにふさわしい会場として、株式会社関ケ原製作所内にある『せきがはら人間村生活美術館』で開催しました。ここ『せきがはら人間村生活美術館』は、ファウンダー矢橋昭三郎氏の生涯をかけての夢「働くことと美しいものとの一致すべき理想郷の実現」としての思いと共に、美術家が表現するものとからめて、美術感を感じ、いろいろなヒント、共感、新しいものの見方などが生まれることを目指した“美術感スペース”です。伊吹山を望む広大な彫刻庭園には、フランスの世界的石彫家ピエール・セーカリーや新妻実、若林奮、近持イオリなどの作品が点在し、自然とアートが調和した空間は、地域に向けて開かれており、誰もが足を踏み入れて憩える場所となっている。そんな施設の一角にある『人間塾』という研修施設をお借りして開催しました。

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当初は9月11日(土)に開催する予定でしたが、デルタ株の猛威による第5波の到来で新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から延期することとし、このたび12月18日(土)に開催する運びとなりました。当日は、生憎の大雪となり、参加者の交通の便が心配されましたが、5名の欠席のみで15名の方に参加いただきました。講師の遠藤先生には、今後制作予定の雪をテーマとした絵の参考になったと雪景色を堪能されました。

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まず最初に、一般財団法人せきがはら人間村財団の佐久間康二理事長から『せきがはら人間村生活美術館』について、創設理念、施設紹介等スライドを交え説明を受けました。当施設のファウンダー矢橋昭三郎氏と広報を担う関ケ原ゼネラル・サービス株式会社の山口知加主任も駆けつけていただきました。

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講座は、まず遠藤先生の作品紹介から始まりました。1,000号、1,500号というとても大きな絵を描く講師は、実際にある風景ではなく頭の中で描いたものを描いていくスタイルをとるが、必ず関連した場所に行ってデッサン・クロッキーしてそれを家に帰ってまとめていくとのことで、西新宿のビルの3階から町の風景を観察して500枚ほど描いて制作した『街(street)』(1983年)、「多視点」といって一つの方向だけではなく色々な方向で画面を作ることを意識して描いた『在り過ぐす』(2010年)などの絵の紹介がありました。そして、その時代の空気みたいなものや自身の感覚・生活していることをどのように絵の中に取り入れたらよいかをいつも考えつつ制作していること、絵の中に“怖さ”と“楽しさ”など色々なものが画面の中に入るように描いていること、一番描きたいのは“人間存在”、生きているということに対して描きたいとずっと思っているというお話がありました。

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その後、レオナルド・ダ・ヴィンチに始まりルノワール、ゴッホ、セザンヌ、ルソー、ピカソ、シャガール、バスキアなどの歴代の著名な画家たちの自画像を描いた絵を紹介しながら、描くところと描かないところの使い分け、明るいところと暗いところの対比、手を使うことによる独特の構図、四隅を明るくしたり暗くすることで画面にリズムが出てくる等の解説がありました。自画像というのは最も身近で最も難しい人物画かもしれない、“分からなくなったらセザンヌ”と若い頃から思っていて、背景に線や白い部分を入れたりするセザンヌの構図を研究した話が披露され、構成が失敗すると最後まで失敗に終わるので構図は重要と強調されました。また、上手ければよいというものではなく、その人らしい他の人にはないもの、その時の思いや考えを画面に取り入れて、今をどう捉えるかに留意して描いていただきたいとのお話がありました。

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昼食休憩をはさんで、午後からはいよいよ自画像の制作です。皆さん、鏡に映った自身の姿を鉛筆、クレパス、アクリル絵の具などで真剣に自画像の制作に取り組みました。画面構成や色の濃淡など講師からアドバイスを受け仕上げました。

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最後に各自制作した自画像を皆さんの前で披露し、講師から講評を受けました。細かな描写力や背景のグラデーションの素晴らしさ、言いたいことが言えない自身の内面性を形として上手く表現している、立体を制作する方はデッサン力が素晴らしいなど数多くのお褒めの言葉をいただきました。そして、講師の制作する絵には必ず自画像を画面のどこかに描いているとのことで、その部分を拡大した缶バッヂが全員にプレゼントされました。

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講座終了後、関ケ原ゼネラル・サービス株式会社の山口知加主任の案内で、せきがはら人間村生活美術館本館を見学しました。

◆参加者の声  「講師のアドバイスに感動しました。仕上がり、出来栄えが違ってきた」「遠藤先生に絵を描くポイントを教えていただけ大変良かった」「短い時間で制作し講評もしていただけて貴重な機会でした」「会場が良かった」と、講師の丁寧な指導と的確な講評により、大変満足度の高い講座となりました。

 

 

  

 

 

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