実施報告

2020.08.03
アートラボぎふ

「現代アート」とは何か? ~マルセル デュシャンを巡って~ 第1回 実施報告

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昨年度、岐阜市で開催して好評だった「現代アート」とは何か?を学ぶ2回シリーズの講座を今年は高山市で開催しました。「モダンアート」が現代美術を意味するものであった1980年頃までの作家と作品について、豊富な画像資料を用いた講師によるレクチャーと映画「バスキア、10代最後のとき」でたどりました!


【開催概要】 チラシはこちら(PDF)

◆日時  令和2年7月25日(土) 13:30~17:00

◆会場  飛騨高山まちの博物館(高山市)

◆講師  桑原 鑛司氏(Art Award IN THE CUBE企画委員会委員長)

◆参加者数  19名


◆内容  令和2年度最初のプログラムをやっと開催する運びとなりました。今年度は新型コロナウイルス感染症拡大防止の観点から、受付での手指消毒、検温、チェックシートの記入、マスク着用、窓の開放、席の間隔を最低でも1.5m確保するなど、感染防止対策を講じて開催しました。講師の桑原先生にもマウスシールドを装着してご講義いただきました。

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最初に、フォルム、色彩、構図の独創性は他の追随を許さなかったアメリカ現代美術の先駆者ジョージア オキーフ、ヨーロッパの伝統的な美術の価値観を否定し、視覚に訴えるのではなく哲学的な作品を残したマルセル デュシャンの説明がありました。デュシャンの代表作である『泉』『彼女の独身者によって裸にされた花嫁、さえも(通称:大ガラス)』『遺作』などが解釈とともに紹介されました。

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デュシャンが『大ガラス』を制作しているころ、ニューヨークでは抽象表現主義と呼ばれる若者たちが出現し、アクションペインティングのジャクソン ポロックは最初は具象が残っていたり、キュービズムの影響を受けた作品も制作しており、絵を描く技法としては全く新しいドリッピングに挑んだ。モーリス・ルイスによる机の上にキャンバスを広げてアクリル絵の具をたらしたヴェイルペインティングは、叙情的な滲みの効果で人々を魅了し、ジャスパージョーンズは着色した蜜蝋で画面に実にカッコイイ筆触(タッチ)を残し、アンディ・ウォーホルはシルクスクリーンの技法で印象派の画家たちが得意としてきた形と色面のずれを多用した。彼らは絵を描いている意識であり、制作するのはあくまで絵画として成立する作品でなければならず、その時代は、まだ美術は「絵画」というジャンルを持っていたということでした。

その後、ストリートアートといわれる、街角や地下鉄の壁などにスプレーやペンキでグラフィティを描いたキース へリングやジャン ミシェル バスキアなどが登場するが、このあたりまでは、最先端の抽象絵画でも画家たちの意識としては絵画であった。その後「考える芸術」「哲学する芸術」を促す時代に入ったと解説されました。

休憩をはさんで、映画「バスキア、10代最後のとき」を鑑賞し、当時の理解を深めました。

◆参加者の声  「具体的な作品が見られ、美術の流れと作家の想いを感じられた」「今日の表現を改めて見つめなおす良い機会となった」「映画によって美術からArtへの転換点が分かった」など、講師の人柄が表れる作品画像を用いた的確な説明と映画上映を交え、デュシャンから現代アートへの変遷と今日の様相について学ぶ講座となりました。

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